COLUMN

ノルウェーのライフスタイル

雄大な自然と共に過ごす日常生活

コラム01

川ではサーモンが飛びはね、森では木イチゴなどのベリー類が実をつける、まぶしいばかりの木々の緑に晴れ渡った青空。これはノルウェーの夏の醍醐味です。遅い春の5月には一斉に花開き、6月から8月の夏を経て、10月にはまた雪に包まれる暮らしは、日本では北海道の気候風土と似ているかもしれません。

ただ、少し違うのは、北極圏に近いので、夏には白夜と呼ぶ日照時間の長い日が続くこと。夏の夜には、遅くまで屋外で談笑を楽しむ声が聞こえてきます。そして太陽も昇らない漆黒の闇に閉ざされる冬の一時期には、見渡す限りの銀世界が広がり、頭上には神秘的なオーロラがゆらめきだします。

そんな美しいノルウェーの自然をさらに際立たせるのが、フィヨルドです。長い年月をかけ、氷河によって浸食された海岸線は複雑に入り組み、切り立った断崖は独特な風景をつくり出しています。

ノルウェーは高緯度に位置しているにもかかわらず、近くを通るメキシコ暖流の影響で海が完全に凍ることはありません。ノルウェーは日本とほぼ同じ大きさの国ですが、そこに住んでいるのは約500万人。ふだんは都市部に住んでいても、自宅から少し足を延ばせば、海と山をあわせ持つ雄大な自然に触れることができる暮らし。そのため、小さな頃から休日だけでなく、日常のちょっとした時間にも、自然の中で過ごすことが習慣になっています。山や海など自然に親しむ暮らしの要となるのが、ヒュッテと呼ぶ小屋の存在です。電気や水道が通っていないものも多く、トイレは戸外にあるものも。テレビもインターネットもない自然の中で過ごす時間を大切にするノルウェー人は、こうした不便をむしろ楽しみます。このようなヒュッテが、国内には約40万軒も点在しています。「ノルウェー人はスキーを履いて生まれてくる」のことわざ通り、このヒュッテを拠点に、冬はスキーを楽しみ、夏は釣りや水遊びを楽しみます。人々にとって、スキーはスポーツではなく「歩く」「走る」といった日常の移動手段のひとつで、スキーで通勤や通学をする人もいて、暮らしの中では散歩感覚の身近なものなのです。


コーセリな暮らしに欠かせない暖炉

コラム02

「コーセリ(koselig)」は、ノルウェー人がよく口にする言葉です。「とてもコーセリな家ね」「あの人はとてもコーセリだ」と・・・・・・。このコーセリという単語には、心地よい、気が置けない、くつろげる、といった意味合いがあります。年収の1割を自宅の手入れに費やすほど、住まいにこだわりを持つといわれるノルウェー人ですが、そのキーワードとなるのもコーセリ。どんなに豪華な家であっても、コーセリでなければ――私が私らしくなければ意味がないのです。

そんなコーセリな空間を作るために欠かせないのが、炎です。オスロの住宅情報サイトを検索すると、戸建てのほとんどが「暖炉あり」。裸火を楽しめる伝統的な暖炉があるかどうかは、家を購入する際の大きな決め手となるのです。また、日本のように家の側面などに煙突はつけず、暖炉や薪ストーブは家の中心部、つまり家族が集まる広い空間のリビングに設置します。

ノルウェーでは、灯油やガスを暖房に使うことはあまり一般的でなく、暖炉以外の暖房といえば電気ヒーターです。ノルウェーの発電は9割以上が水力由来ですが、その需要が高まると電力価格も上がるという仕組みで、冬季の電気料金はとても高額になります。この点でも、暖炉や薪ストーブはノルウェーの家にとって欠かせないものになっているのです。

また、日常的な暖炉の煙突掃除は最低1年に1度行うため、屋根には煙突掃除用のはしごが常備されています。自分で煙突掃除をするほか、最近は煙突掃除業者に頼むことも多くなっています。しかし、小さな頃から暖炉や薪ストーブになじんできた人々は、簡単なメンテナンスはほぼ自分たちで行います。おじいさんやひいおじいさん、ひいひいおじいさんの代の年代物の暖炉や薪ストーブが今でも多く使われているのは、的確な手入れと使い方を熟知しているからなのです。

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